時には素朴な小さな島に出かけてみませんか。山口県の県境にある大竹市の阿多田島は周囲約12キロの小さな島。人口約300人の漁業の島で、伝統のイワシ漁に加え、近年ではハマチやカキなどの養殖が盛んです。新ブランド「あたたハマチtoレモン」も開発されています。
大竹市の小竹港から島まで船で約35分。運が良ければ泳ぐスナメリをフェリーから見られるかもしれませんよ。
島は瀬戸内海でも屈指の釣り場として知られ、ハマチやタイなどを釣る海上釣堀も人気です。釣りを目的に訪れる人も多く、島中に海の恵みいっぱいの穏やかな雰囲気があふれています。
島を一周すると様々な場所から海の美しい景色を目にすることができますが、島で海に関わる見どころと言えば、港から徒歩約20分、宿泊施設「海の家あたた」の裏手にある「灯台資料館」があります。洋風レンガ造りでモルタル塗の壁、アーチ型の入口などが取り入れられた、明治時代のノスタルジックな建築物です。
もともとは明治時代の1903年に安芸白石航路標識事務所および官舎として建てられたもの。この頃、広島湾が軍事拠点として重要視され、広島湾にいくつも灯台が設置されました。阿多田島から約3キロメートルの海上にある白石岩礁に建てられた白石灯標(灯台)もそのひとつ。その灯台を管理したのが阿多田島の安芸白石航路標識事務所でした。ここに海上保安部の職員が常駐し、船で灯台に出向いて点火したり、保守管理にあたったりしました。1978年から無人になり、1996年に国登録文化財として保存し一般公開しています。
資料館の中には灯台の歴史の説明のほか、灯台関連の器具が展示されています。また懐かしい生活用品の展示物もあり、ここでの生活をしのばせます。ここに職員の一家が住みこんで、広島湾の入口と言われた白石の灯台を守り、海の航行の安全をサポートしていたのかと思うと感慨深いですね。戦争中も空襲のたびに光源ランプに黒幕をかけたり、黒一色に塗ったりと海の指標である灯台を必死に守ろうとしたとも伝えられています。海上灯台を守ろうとする人々の数々の奮闘が目に浮かびそうですね。
見学した後はぜひ裏手へ。海と海岸の景色が美しいビューポイントとなっており、景観を独り占めした気分です。
潮風に吹かれながら、灯台を守った人たちが見守っていた雄大な海を眺めて見ませんか。
灯台資料館(事前に連絡を)
0827-53-6677(大竹市生涯学習課)