海の中に咲く小さな花の映像です。
専門家も「幻」と呼ぶその花を、RCCのカメラが記録しました。
この時期の瀬戸内海は、日に日に水温が上がっています。
この日の水温は22℃。群れになって泳ぐ小魚たちをたくさん見ることができます。
水深2メートル、浅瀬の砂地に緑色の葉が群生しています。
「ヤマトウミヒルモ」です。指の先にあるのが、“花” です。
大きさは、3ミリにも満たない小さな花です。
花びらに見えるのは、おしべの下に「花びら」と「がく」が合わさったもの「花被片」です。
広島市植物公園 久保晴盛 さん
「海の中で小さな花が咲いていますので。まず見ることができない。『幻の花』と言っていいかもしれないです。
種ができる植物の仲間なんですが、それが海の中で育っているということで、とても珍しい『海草』の仲間になります」
カイソウには2種類あります。
ワカメやコンブなどは “海藻” 。胞子で増える藻の種類です。
一方、ウミヒルモは「海の草」と書く “海草” です。
陸上の植物と同じように花を咲かせ、花粉を飛ばし、種を作り、繁殖します。
遺伝子情報の研究で、大昔にウミヒルモは陸上で生きていたことがわかっています。
しかし、いつごろから海で暮らすようになったのかはまだわかっていません。
広島市植物公園 久保晴盛 さん
「恐竜がいた時代ですね、中生代の白亜紀とか。そういったころにはウミヒルモではなく、アマモの仲間が海の中にいたことは知られてはいます。
(ウミヒルモに関しては)具体的にいつの時期にっていうのは研究が進んでいないのでわからない。まだまだ未知のところがあるかなというところです」
昔はあまり見ることができなかったというウミヒルモ。
このところ、砂浜の環境がよくなった証だといいます。
生命の進化の逆、『陸から海へ』行っているんですね。
海の中で花粉が飛ぶ、種ができるって、どういう状況なんでしょうか・・・。
まったくなじみがない植物ですが、実は沖縄などではジュゴンが好んで食べる海草(植物)として知られているそうです。