この時期にしか見ることができない「海の宝石箱」とは、どんなものでしょうか。
RCCのカメラマンが真冬の海の中を探しにいきました
白山貴浩 カメラマン
「絵の島(広島・江田島市)の海岸です。気温は10℃。少し寒いのですが、“海の宝石箱” を探しにいってきます」
この日の海水温は12℃。
1月から3月は、年間を通じて海水温が最も低くなる時期です。
夏場に比べ、目に見える魚の数は少なくなっていますが、色とりどり、形もさまざまなウミウシがダイバーたちの目を楽しませています。
海中をしばらく探していると、海藻の間に見つけました。
アイナメの卵の塊、卵塊(らんかい)です。
そして、その近くで卵を守っているのがオスのアイナメです。
宮島水族館 飼育員 御薬袋 聡 さん
「秋が深まるにつれて、産卵期が始まるんですけど、オスが岩礁地帯でなわばりを作ってメスを呼び込んで、卵が岩に付着するような感じ」
通常、アイナメの体色は茶色やグレーですが、産卵の時期になるとオスは婚姻色と呼ばれる鮮やかな黄色に変化します。
カラフルなのは体の色だけではありません。
卵の色が微妙に違うのがわかるでしょうか。
宮島水族館 飼育員 御薬袋 聡 さん
「複数のメスが卵を産む。それぞれのメスがいろんな色のものを食べているので、それに影響して、いろんな色の卵があるんじゃないかと考えられています」
こちらの卵塊は、銀色です。よく見ると卵の中に目玉が見えます。
御薬袋さんによりますと、アイナメの卵はおよそ1か月程度でふ化し、オスはすべての卵がふ化するまで卵を守るそうです。
アイナメの卵塊は2月いっぱいころまで見ることができるそうです。
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青山高治 キャスター
あの銀色の卵を体を黄色にしたオスがしっかり守っている姿、ちょっと幻想的でした。
コメンテーター 吉宗五十鈴 さん(「雪月風花」店主)
お父さん、けなげですね。ニワトリの卵、鶏卵も食べ物によってオレンジっぽくなったり、黄色っぽくなったりしますしね。
中根夕希 キャスター
アイナメの婚姻色、鮮やかな黄色は、卵がふ化することになると元の色に戻っていくそうです。
アイナメは、冷たい水温を好む魚で、北海道など寒い地域にはたくさんいるそうなのですが、瀬戸内では少ないそうです。
アイナメは、脂肪の多い白身で「あぶらめ」「あぶらこ」と呼ばれていて、おいしい高級魚だそうです。
市場などにあまり出回らないため、見かけることがあればラッキーだということでした。