サンショウウオの話題です。
氷河期の「生き残り」。広島県北部の標高1000メートル前後の山地に住む幻のサンショウウオ…。
島根県境に近い西中国山地で調査を続けているのは、淡水魚・両生類研究家の内藤順一さん(70)です。
渓流の石をはぐっては、幻のサンショウウオの子ども=幼生を探しています。🧐
幻のサンショウウオとは、
「ハコネサンショウウオ」と「シコクハコネサンショウウオ」です。
西中国山地は氷河期の生き残りの2種が住む貴重な場所で、
しかも日本国内での分布の西の端=西限にあたります。
「山に上っちゃあ、渓流の中で探しているという段階でしょうかね」(内藤順一さん)
実は、親=成体は広い森の湿った落ち葉の下にいて、見つけるのは、ほぼ不可能。
幻のサンショウウオといわれるゆえんです。
内藤さんは、見つけやすい幼生を探し、西中国山地での分布を調べているのです。
始めてからもう5年になります。
「今、上から押さえてしもうたで、わしは。あっ、採れた。」(内藤順一さん)
成体になる前の体長7センチほどの幼生が採れました。
水中に住む幼生には魚と同様、エラがあります。成体になると、エラは消え、陸上に上がり、皮膚呼吸をします。
ただ、幼生は思ったほど見つからず、2か所のポイントで4頭だけ。
内藤さんは「夏に雨が多かったことから、下流に流された幼生が多かったのでは」と見ています。
「やっぱり、ちょっと少ないかの。尻尾切るの、かわいそうなくらい小さいの」(内藤順一さん)
幼生の段階ではハコネサンショウウオか、シコクハコネサンショウウオか、区別がつきません。それで、尾の先を少し切り取ってアルコールの入ったチューブに入れ、それを研究機関に送り、DNA解析で種の区別をするのだそうです。幼生は、元の場所へ返します。
内藤さんは、中学や高校🏫の教員の傍ら、貴重な淡水魚や両生類などの研究を続けてきました。
サツキマスの産卵シーンの撮影や、寒冷地に住むカワシンジュガイの生活史を明らかにし、繁殖にも貢献。
また、ナゴヤダルマガエルの保護にも努めてきました。
「行ける所は車で行って、そこから歩きですよね。
やりよると、やっぱり課題がなんぼでも次から次へ出るもんですから、動ける間はやはり調査をしていきたい」(内藤順一さん)
西中国山地での分布調査が氷河時代の生き残りの貴重な種を保護する上での基礎になります。
内藤さんは、冷たい水をものともせず、幼生を探し続けています。