レポート
2016.08.22

瀬戸内に君臨した村上海賊 因島水軍城

しまなみ海道の因島にそびえる因島水軍城。ここでは日本遺産に認定された「村上海賊」ゆかりの品々を展示しています。村上海賊は南北朝時代から戦国時代にかけて、芸予諸島の因島・能島・来島を拠点に、瀬戸内海を支配していた水軍(海賊衆)です。いわゆる金品を略奪する「パイレーツ」とは違い、船の通行料を徴収や海上の警護など海の安全と流通を担っていました。その一方でひとたび戦になれば水軍として海を自在に駆け巡り、敵を蹴散らしました。その威勢は朝鮮半島、東南アジアまでとどろいたといわれています。因島には海を見張るため24もの城が設けられていました。

その水軍のふるさと因島に1983年、全国でも珍しい城型資料館として因島水軍城が造られました。本丸は水軍資料館、二の丸は武者人形による戦法会議の様子、隅櫓は写真の展示とともに展望台となっています。

本丸に入るなり、目に飛び込んでくるのは200トンを超える村上水軍の軍船・大阿武船の模型(12分の1)。主砲や火箭(かや)などで武装された堂々たる軍船です。「上」の字を丸で囲った村上氏の紋章を染め抜いた帆をはためかせ、船を操って海を疾走した村上水軍の勇ましさが思い浮かぶかのようです。

展示品の中で面白いのは兜。兜と言えば武将が個性を発揮したことで有名ですが、ここには波やほたて貝をモチーフにしたユニークな飾りがついたものも。さすが海で活躍した水軍らしいですよね。

展示品と言えば6代当主村上吉充が毛利元就の子、小早川隆景から拝領したという「白紫緋糸段縅腹巻」もみどころのひとつです。因島村上氏は1555年の厳島合戦では毛利・小早川氏に味方して勝利に貢献したことでも知られています。小早川氏との深いつながりと歴史の重みを感じる一品です。

ほかにも中国より持ち帰った絹本着色涅槃図を始め、村上家古文書、金蓮寺在銘瓦、大塔宮令旨、村上氏相伝の太刀、村上水軍旗など村上水軍の威光を身近に感じられる貴重な歴史資料が数多く展示されています。

(データ)

広島県尾道市因島中庄町3228-2

TEL 0845-24-0936

開城時間 9時半~17時(1月2日・3日は10時~15時) 

休城日 毎週木曜日(祝日除く)、12月29日~翌年1月1日

料金 大人310円  小人(小、中学生)150円

アクセス しまなみ海道因島北ICから約5分、因島南ICから約10分

  1. 軍船など水軍の威光を知る展示の数々
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