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港町の「船宿cafe 若長」×井上明さん

江戸時代から潮待ち、風待ちの港町として栄えた呉市大崎下島の御手洗地区。その古い家々が建ち並ぶ町並みは重要伝統的建造物群保存地区にも認定されています。
その御手洗の海沿いの道に江戸時代、宇和島藩、大洲藩の指定の船宿(船に水や食料を提供する店)を務めていた町家を改装し土日祝のみ営業する「船宿カフェ 若長」があります。店主の井上明さん(38)は、この御手洗の地に魅せられて店をオープンした一人です。

海が見える古民家カフェで一服

  1. 大長レモンぜんざい(税込500円)

奥さんの実家である呉に移住し、市内の観光ボランティア養成講座で呉の町を回っているうちに訪れた御手洗に魅かれたという井上さん。「海と空の色が鮮やかで、日本の伝統的な雰囲気が残っている明るい街並みにひかれました。山を引き立てる海の存在感も印象的でした」面白い歴史や文化をもっと知りたい、自分なりに表現したいと思い、観光ガイドもするようになりました。

そのうち観光客が訪れてもゆっくりできる場所や島の柑橘類など豊かな資源を提供する場所がないことに気づき、2011年海が見えるこの船宿に古民家カフェをオープンしました。

カフェに一歩入ると、昔ながらの柱、低い天井、細くて急な階段など、どこか懐かしい日本の伝統的な木造家屋の空間が出迎えてくれます。船箪笥や木の冷蔵庫など懐かしいレトロな品々も見ているだけで楽しいですね。1階では土の風合いがこの建物に良く似合う急須作家の急須など雑貨も販売しています。

2階に上ると思わず歓声があがります。 大きく開け放たれた窓の向こうに広がるのは、四国まで見渡せる紺碧の海と緑の山々が溶けあう絶景。海の鮮やかさがとても印象的でいつまでも見とれてしまいそうです。
「御手洗の先人たちが眺めた景色をそのまま楽しんでもらいたいですし、ゆっくり流れる時間を感じてもらいたいですね」と井上さん。ここでは大長レモンをつかったぜんざいや、天草から作る臭みのないところてんスイーツなど、地元の食材を生かしたメニューを味わえます。
海を眺めながら地元の恵みたっぷりのスイーツを味わうのはとても贅沢な時間ですよね。

井上さんが御手洗で手がけているのはこのカフェだけではありません。次に御手洗の魅力や町づくりの活動についてお聞きしました。

「見て触れて感じて帰ってもらいたい」

井上さんはこの御手洗で、カフェのほか鍋焼きうどんの尾収屋、薩摩藩船宿跡を利用した雑貨店の脇屋、潮待ち館など多くの店や施設を手がけるほか、御手洗重伝建を考える会の事務局長も務めています。「まずはここで暮らして良かったと自分たちが思えるところを作っていきたいですね」と週の6日は町に滞在して町の活動にも尽力しています。

井上さんに御手洗の見どころをお聞きしたところ、美しい景色はもちろん、古い民家やハイカラな洋館がある独特の町並みが魅力だそう。「江戸~明治、大正、昭和と各時代の文化をプラスしながら、それぞれの暮らしが垣間見えるような町並みが残されています。ここで大事にされてきたものを見て触れて感じて、それぞれ発見してもらって帰ってもらいたいですね」と言います。歴史ある町並みや文化に自分なりに何かを感じ取って帰れば、旅の忘れられない思い出として心に深く刻み込まれるはずです。

今、井上さんが取り組んでいるのは、御手洗の資源の見せ方を工夫するとともに、そこに関わる人たちの個性も取り入れながら、町の魅力をコーディネートしていくこと。尾収屋や脇屋も志のある人に任せ、それぞれのアレンジを発揮してもらっているとか。町のもつ文化や歴史、そしてそれらを生かそうとする人たちの個性や思いが共鳴した時、人々の心を動かす新たな魅力が生まれるのかもしれませんね。
変わらない町並みや景色と新たな創造、行くたびに発見に出会える、何度でも訪れたい港町になりそうです。

ちなみにカフェのすぐ隣には別ページで紹介している船大工の宮本国也さんの工房がありますので、そちらもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

(データ)
船宿cafe若長
住所 呉市豊町御手洗住吉町325
営業 土日祝日のみ営業 11時~17時
電話番号 090-4483-3141
ホームページ
http://yosoro.com/

(アクセス)
呉からは車で約1時間
竹原と愛媛県の今治からフェリー有

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